棄老説話

お年寄りをどうするのか、という課題は古代においてもありました。おそらくは人間だからこそ起きてきた悩みでしょう。自然界では、自ずと淘汰されていくはずですから。

 古くから老人を捨てるという説話は世界中にありました。日本には、おおきく二つのタイプがあります。一つには、難題解決型です。これは『雑宝蔵経』に説かれます。昔々ある国で老人を山に捨てなければならないという法律があり、息子が親を山に捨てようとしたが思いとどまり、家に隠します。その後、隣国から難題に答えられなければ、国を攻めると王様は脅されます。この難題を解決したのが、捨てられようとした老人から知恵を授かった息子でした。その後、この国では老人を大切にした、という話です。

もう一つのパターンは、山に捨てられようとした老人が枝を所々で折っています。息子が理由を問うと「お前が帰りに迷う事がないように」と、この期に及んでもわが子を心配するのかと、引き返すという話です。

 他にも、二つを合わせた型や、孫を連れて行き、「私も父を捨てるから」と言われる型もあります。

 世界中に伝わっている話という事は、共通の課題である証拠です。現代人はどの型にあてはまるのでしょうか。

saikohji
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