綱吉と老婆を背負った青年

5代将軍綱吉が、ある時老婆を背負った青年を見た。
「あれはなんじゃ」
「あれなる者は、評判の孝行者でございます。」
「あっぱれじゃ。褒美をやれ」
またある日、別の青年が老婆を背負っていた。
「あれはなんじゃ」
「あれなる者は、評判の親不孝者でございます。先日、上様から褒美を頂いたことを聞いて、それをねらってわざと孝行者のふりをしているのでございます」
「構わぬ。褒美をやれ。」
「なんと」
「ふりでも、真似でも構わぬ。よきことをしているのじゃ。褒美をやれ」
その、青年はまことの孝行者に変わったそうな。

saikohji
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