経蔵
2023年5月26日
身近な仏教用語というわけではありませんが、大きな寺院に行くと時折「経蔵」という建物がありますので、この度「経蔵」を取り上げます。
まず、「経蔵」には二つの意味があります。一つは、仏教の文献を分類すると経・律・論の三種となります。経とはブッダの教え、律とは戒律、論とは解釈のことです。これらの総称を三蔵といい、三蔵を究めた方を三蔵法師と呼びました。この三蔵の中の経を「経蔵」といいます。ブッダの教えをまとめたものです。
二つ目の「経蔵」の意味は、漢字の通り「経」の収められている「蔵」の事です。大きなお寺さんで「経蔵」という建物があれば、是非注目してください。情報が簡単には手に入らない時代、お経を調べるときには、「経蔵」に調べにくるということもありました。親鸞聖人がまさにそうです。茨城県笠間にある稲田の草庵を拠点として、お経を調べるために鹿島神宮に通われました。当時は神宮寺といい、「経蔵」があったからです。五二歳の時に、「顕浄土真実教行証文類」の草稿本ができます。この年を浄土真宗立教開宗の年とし、今年が八〇〇年という記念の年であり、京都では大きな法要が勤められました。