経蔵

身近な仏教(ぶっきょう)用語というわけではありませんが、大きな寺院(じいん)に行くと時折「経蔵(きょうぞう)」という建物がありますので、この度「経蔵(きょうぞう)」を取り上げます。

 まず、「経蔵(きょうぞう)」には二つの意味があります。一つは、仏教(ぶっきょう)の文献を分類すると(きょう)(りつ)(ろん)の三種となります。(きょう)とはブッダの教え、(りつ)とは戒律(かいりつ)(ろん)とは解釈のことです。これらの総称を三蔵(さんぞう)といい、三蔵(さんぞう)を究めた方を三蔵法師(さんぞうほうし)と呼びました。この三蔵(さんぞう)の中の(きょう)を「経蔵(きょうぞう)」といいます。ブッダの教えをまとめたものです。

 二つ目の「経蔵(きょうぞう)」の意味は、漢字の通り「(きょう)」の収められている「(くら)」の事です。大きなお寺さんで「経蔵(きょうぞう)」という建物があれば、是非注目してください。情報が簡単には手に入らない時代、お(きょう)を調べるときには、「経蔵(きょうぞう)」に調べにくるということもありました。親鸞(しんらん)聖人(しょうにん)がまさにそうです。茨城県笠間(かさま)にある稲田(いなだ)草庵(そうあん)を拠点として、お経を調べるために鹿島(かしま)神宮(じんぐう)に通われました。当時は神宮寺(じんぐうじ)といい、「経蔵(きょうぞう)」があったからです。五二歳の時に、「(けん)浄土(じょうど)真実(しんじつ)(きょう)(ぎょう)証文類(しょうもんるい)」の草稿本(そうこうぼん)ができます。この年を浄土(じょうど)真宗(しんしゅう)立教(りっきょう)開宗(かいしゅう)の年とし、今年が八〇〇年という記念の年であり、京都では大きな法要が勤められました。

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