龍王と盗賊と

千葉組HP用の法話のたとえ話部分です。近く紙芝居にする予定です。全文は、掲載されましたらご案内させていただきます。4月の予定です。

お釈迦さまが、龍の王であったときの話です。龍王はあらゆる怒りの心を鎮めたいと考えておられました。
 或る時、龍王が眠りについていると、盗賊が現れました。盗賊が龍の姿を見て驚いたもののその輝きに目を奪われたのです。そして、龍の鱗を持ち帰れば、高く売ることができるだろうと考えました。
 盗賊は龍王を起こさないようにそっと近づき、刃物で鱗を切り始めました。痛みで龍王は目が覚めました。痛む個所を見ると盗賊が懸命に自分の鱗を切り取ろうとしています。龍王は思いました。

「今、自分が抵抗すれば、この盗賊は鱗をとることができないだろう。そうすれば、他にも迷惑をかけるかもしれない。私はこの盗賊に鱗を与えるが、忍辱を守り、仏として生まれ変わることができたならば、この者に仏法を与えよう」
自らの体に刃が入っても耐え忍び気付かぬふりをしたのです。
 盗賊が刃を入れたものですから、龍王の体から血が出てきました。すると、血の匂いに惹かれて虫たちが寄ってきました。虫たちは龍の血肉を吸い食べ始めました。その様子を龍王は、

「いま、耐え忍び、忍辱を守り、仏と生まれ変わったならば、この虫たちに血肉ではなく、仏法という食べ物を与えよう。」

と龍王はひたすら忍辱を守り、そのまま命を閉じたのです。そして仏へと生まれ変わったのです。

『菩薩本縁経龍品』

saikohji
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