象と猟師

仏陀が過去に象であった時があった。
あるひ、猟師が毒矢で象を射た。象は猟師を抱擁し、ほかの象に危害を与えさせないようにした。
象は言った。
「猟師は過ちではない。煩悩の罪なのだ。そなたは何で私を射たのか。」
「お前の牙が欲しいからだ」
象は自らを石に当てて、牙を折った。血も肉も付いていた。

この話を聞いた仏陀の弟子たちが言った。
「なぜ象の姿なのですか。」
仏陀は言った。
「それは、人の姿だと話を聞いてもらえないからだ。畜生で聞いてくれるならば喜んで畜生となろう」

『大智度論』に説かれる仏陀の慈悲の物語

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