上に立つものは・・・
2025年10月9日
昔、ある山里に一人の若い領主がいました。彼は山里を豊かに治めようと誓い、村々の長老や隣村の村人たちと協力を約して就任しました。しかし、治め始めると、ある隣村とは気風も信仰も異なり、対立の火種が出始めました。長老たちは「お前が山の頂になって全体を見よ。頂から見れば、どの村の声が小さく、どの声を聞くべきかわかる」と忠告しました。
若き領主は山頂に登り、北に見える村、南に流れる川、東に延びる畑、西の道――すべてを見渡しました。すると、自分の立つ場所が小さく見え、四方とのつながりがはっきりと視えてきます。自ら中心に立つのではなく、むしろ周囲を聴きながら、ひとつの調和を構えていくことが大切だと悟ったのです