何のための文化財か
2025年5月12日
仏像や伽藍が文化財になり、維持をすることが返って重荷になる場合がある。なんのための仏像なのか。
臨済宗栄西禅師の逸話がある。
建仁寺に栄西禅師がおられた頃、ひとりの食べることに窮している人が来た。栄西禅師は、薬師如来の銅板でできた光背を取り、それを差し上げた。「これをうって食べ物に変えなさい」と。
これが大問題となったが、栄西禅師は
「私はこの罪で地獄に落ちても良い。貧しいものを放置してなにが仏教か」
と答えたという。
何のための境内なのか本堂なのか仏像なのかを僧侶自身が問い直すことが必要だ。