愚禿
2024年8月27日
身近な仏教用語ではないのですが、親鸞聖人の人間性を知るうえで重要な言葉ですのでご紹介させていただきます。
「愚禿」とは、親鸞聖人が独自に作られた言葉です。「愚」は、愚かである事、「禿」は、剃髪はしているけれども、戒律を守れない堕落した僧侶の事を意味します。聖人は、この語を持って自らの姓とされました。
その時期は、親鸞聖人が比叡山を下り、法然聖人の元でお過ごしになられたのが三十代前半です。三十五歳の時に、他宗派の念仏批判や後鳥羽上皇の逆鱗に触れるようなことがあり、念仏停止令が出されます。親鸞聖人は越後へ流罪となりました。その際に、還俗させられ、藤井善信という俗名が与えられます。しかし、親鸞聖人は自らを愚禿という姓を名乗られました。
僧にあらず 俗にあらず この故に禿の字を以て姓とす真宗のみ教えは立派になっていく教えではありません。自らの浅ましさと阿弥陀如来の慈悲の深さを日々聞かせていただくのです。