行像

行像

 京都では、梅雨が明ける頃になると、祇園(ぎおん)(まつり)の季節がやってきたと市内のあちらこちらで(ほこ)山車(だし)の準備が始まります。メインは市内を山鉾(やまぼこ)が廻る山鉾(やまぼこ)巡行です。むしむしとした京都独特の暑さの中、(ほこ)を大勢で引っ張る姿は圧巻です。

 このように、神仏(しんぶつ)などを御輿(みこし)(神輿)に乗せ、巡行することは、日本各地の祭りでみられます。このおそらくはルーツになるのではないかということで、今回は「行像(ぎょうぞう)」をご紹介させていただきます。  7世紀、西遊記(さいゆうき)三蔵法師(さんぞうほうし)のモデルとなった玄奘(げんじょう)三蔵(さんぞう)が、ガンダーラを目指しシルクロードを歩んでいるときには、すでに仏像(ぶつぞう)を車に乗せて巡行することが記録されています。この巡行のことを「行像(ぎょうぞう)」といいます。その頃から、お釈迦(しゃか)様がお生まれになったことを祝う降誕会(ごうたんえ)(花まつり)の際には、仏像(ぶつぞう)を車に乗せて引いていたそうです。菩薩(ぼさつ)(ふつ)来迎(らいごう)することを、模したとも言われています。こちらから行くのではなく、向こうから迎えに来ていただく大乗(だいじょう)仏教(ぶっきょう)の思想がよく表れているのが「行像(ぎょうぞう)」です

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