鬼のいる家

ある旅の僧が、暗くなってきたので通りがかった屋敷に泊めてもらえるように頼んだ。すると、使い番が
「どうぞお泊りください。ここは鬼が来るところなのですが、あなたは僧侶ですから何の問題もありません」
旅の僧は、泊まることになった。
しばらくすると、また別の旅の僧が宿を求めてやってきた。同じように隣の部屋に案内をされ、同じように鬼がいるけど心配ないと言われた。
二人の僧は、互いに隣の部屋で物音がするので、鬼が来たと思い込んだ。一方が退治をしてやろうとふすまを開けようとした。一方は鬼が来たとふすまを開けまいと抵抗をした。押す引くの攻防が続きいよいよふすまが外れた。たがいに
「この鬼め」
と叩き合った。
翌朝、お互いの顔を見ると、旧友であったのだ。
鬼はどこに住んでいるのでしょうか。

『大智度論』

saikohji
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