雛飾りで一番楽しているのは五人囃子?

春の彼岸参りでのことである。その家では雛飾りを4/3までお飾りする家であった。お参りを一緒にした小学校五年生の女の子が私に尋ねてきた。
「ねーねー和尚。雛飾りは上の二人が一番大変だよね。」
「なんでそう思うの。」
「だって、歴史を勉強するとさ、王様は政治をして自分の事より国の事を考えなきゃいけないでしょ。お姫様は好きな結婚できないでしょ。」
「すごい感性だね。」
「下の五人囃子が一番楽していると思うの」
「何で」
「だって楽器を持って自分の好きな音楽を弾いているんでしょ。一番楽しんでいるじゃん」
「なるほど。いいところに気が付くね。じゃあ、おじさんから問題を出そう。五人囃子は、誰のために楽器を弾いてると思う。」
「お内裏様とお雛様じゃないの」
「それだったら向きがおかしくない。お雛様の方を向いていないよね。」
「ほんとだ。」
「じゃあ、誰ために弾いているんだろう。」
「んーーー」
「五人囃子はね、雛飾りを見てくれる君の為に弾いているんだよ。」
「えっ、なんで」
「ひな祭りは節句といって、季節の変わり目に行う行事なんだ。他の季節にも節句はある。なんで節句をするかというと、季節の変わり目は体調を崩しやすいからだ。昔は子供が病気にかかると死ぬ確率も高かったんだ。だから、気を付けてねと言う親の願いをこめて節句をするんだよ。だから、五人囃子は、見てくれる君の為に弾いているんだ。もっというと親の君が健康に育ってほしいという願いが込められているんだよ。お仏壇もそうだ。全部こっち向きに作られている。お参りをしてくれる君の為に仏様が君を願っているんだよ。」
今年はそんな場面があったお彼岸参りであった。
南無阿弥陀仏

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