郡盲象を評す

 インド発祥の寓話で、形は違えど世界中に広まっている物語です。

 大臣と一緒にいた王様が、十人の目の見えない人々を呼びました。そして、それぞれに象を触らせて、これは何かを聞いたのです。すると、象の鼻を触った人は輿の轅(牛車などの車引きがつかむ棒)、牙を杵、耳を箕(穀物の選別に使う農具)、頭を鼎(三本足の器)、腹を壁、背中を丘、前足を臼、後ろ足を樹、膝を柱、尾を蛇とそれぞれに答えました。すると、大臣は目の見えない人々をあざけり笑ったのです。王様はそれをたしなめます。そして、人は物の一部しか見えず、それに固執すると真実を見誤ることを伝え、仏法の見方が必要であると諭したのです。

我々が見ていることは、あるものの一部分でしかありません。一部分しか見えていないのにわかったような顔をして他を貶めてはならないのです。わからないことに気づかされ、他の見えていない世界を知らされるとどんどん世界は広がるのです。結局世界を狭くしているのは自分自身なのです。

saikohji
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