芥子
2025年7月23日
アンパンやお菓子にまぶされている事がある芥子の実。今回は「芥子」のご紹介です。芥子自体は仏教用語ではありませんが、お経の中に「芥子の実」が時々出てきます。芥子の実は非常に小さく、日本で5月ぐらいにオレンジの花を咲かせるナガミヒナゲシは、花が咲いた後の実の中には、一六〇〇粒の種が入っているそうです。
古代のインドにおいては、薬用や食用、油の原料として民衆にも多く広まっていました。現在の日本では、芥子の種類によってアヘンなどの材料になるため、違法になるので注意が必要です。
仏典での芥子の有名な所は、芥子劫という時間の長さの譬えです。阿弥陀如来が人々を救うために試案をされた時間が五劫です。一劫が、約十キロ立方メートルの大きな箱の中に芥子の実が満杯に入っていて、数年に一度一粒取り出し、芥子の実がすべてなくなった時間が一劫と表します。永遠の時間を古代インド人は譬えたのです。
また、子どもを亡くした母親が釈尊に相談し、釈尊から「一人も死者を出していない家から芥子の実をもらってきなさい」といい、母親は死者を出したこのない家は一軒もない事を悟ります。