祈祷
2022年3月30日
祈ることで解決するならば、いくらでも祈りたい。しかし、世の中は祈ることではどうにもならないことがほとんどです。祈ることでどうにかなった人は、どこかお幸せな人でしょう。その幸せもいつかは手放せばならないのです。
大河ドラマ「鎌倉殿の十三人」の時代は、貴族政治から武家政治へと変わる大転換点ですが、仏教界でも鎌倉新仏教といわれるほどの大転換だったのです。鎌倉新仏教とは浄土宗、浄土真宗、時宗、日蓮宗、臨済宗、曹洞宗の六宗です。いずれも宗祖が比叡山で学び、平安時代末期から鎌倉時代にかけて活躍されました。そして、浄土系は念仏、日蓮系は題目、禅系は座禅と、身分を問わなくても実践できる教えが普及していったのです。
それまでの、天台・真言の仏教は、鎮護国家として、国家を守るための仏教として位置づけられていました。そこに、戦乱・災害・飢饉といった社会不安が訪れ、それまで貴族が現世祈祷をするための仏教から、民衆のすくいに目を向けた仏教が広まるのです。