徳川八代将軍吉宗公がまだ紀州藩のお殿様であったころの話。 酒に酔った家臣がふすまを破った。吉宗は怒るかと思いきや、 「よいよい。そのままでよい」 と言ったのである。安堵した家臣。しかし、翌日から自ら破ったふすまを見続けなければならない。家臣は以来、酒におぼれなくなったという話。 吉宗は許したようで、相手に気付かせる策を練ったのである。