勝海舟が9歳の頃、犬にかまれた。泣きたくなったが、父に厳しく諭される。医者が来て、傷口を縫おうとすると、父が刀に手をやりながら子供に耐えさせる。当時は狂犬病の恐れもあったので、10日間の様子見となった。父は毎日、お宮参りをし、「大丈夫か」と息子に声をかけ続けた。厳しくも、声をかけ続けた父の姿をいつまでも勝海舟は覚えていた。まことの親の愛である。