共命鳥

浄土(じょうど)真宗(しんしゅう)の法事でよく勤める『阿弥陀(あみだ)(きょう)』には、極楽(ごくらく)の鳥が六羽登場します。その中に共命鳥(ぐみょうちょう)がいます。『阿弥陀(あみだ)(きょう)』には共命之鳥(ぐみょうしちょう)と出てきます。一つの胴体に二つの頭がある鳥です。二つの頭にはそれぞれ意思があります。お互いの頭は考えていました。「私の方が羽色はいいし、声もいい。私が一番だ。」お互いに考えました。「あいつ邪魔だな。」と。

片方の頭が、行動を起こしました。毒の身をもう片方に食べさせたのです。食べた頭は死んでしまいました。「邪魔者がいなくなった」と喜んでいたのもつかの間、毒が反対の頭から体に伝わり、自分の頭に伝わってきたのです。そして、苦しみのたうち回り死んだのです。

 その愚かな鳥は、愚かさを伝えるために極楽(ごくらく)の鳥として生まれ、仏法(ぶっぽう)を説く鳴き声を出します。「他を滅ぼす道は己を滅ぼす道、他を生かす道こそ己の生かされる道」

 大国が自国第一主義を掲げる時代。他を滅ぼせば自らも滅ぼすのです。

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