救世

一般には救世主のように「きゅうせい」と読みますが、仏教(ぶっきょう)では「くせ」もしくは「ぐぜ」と読みます。世間の人々の苦悩を救うことから、(ぶつ)菩薩(ぼさつ)を表す言葉としても用いられます。

 法華経(ほけきょう)の中に

衆生被困厄(しゅじょうひこんにゃく) 無量苦逼身(むりょうくひつっしん) 観音妙智力(かんのんみょうちりき) 能救世間苦(のうぐせけんく)

衆生(しゅじょう)(こん)(やく)(こうむ)りて、無量(むりょう)()()(せま)らんに、観音(かんのん)(みょう)智力(ちりき)は、()世間(せけん)()(すく)わん

とあることから、救世(くせ)といえば観音(かんのん)菩薩(ぼさつ)を表すようになりました。そして、この法華経(ほけきょう)を解釈し、推古(すいこ)天皇(てんのう)の前で講義をした聖徳太子(しょうとくたいし)が、救世(くせ)観音(かんのん)化身(けしん)として敬われるようになります。  (ほう)隆寺(りゅうじ)には秘仏(ひぶつ)救世(きゅうせい)観音像(かんのんぞう)があります。明治の初めまで200年以上公開されていませんでしたが、日本美術に関心を持ったフェラノサが調査をすることで、久々に公開されました。実は、このフェラノサがいなければ、明治初期の廃仏(はいぶつ)毀釈(きしゃく)の影響で、仏像や寺院は解体されていたかもしれません。後に、文化財保護法の基になる法律が制定されます。

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